Interview
06-1
化学を深く知り、社会へ届ける学び
本日はよろしくお願いします。まず、化学・バイオ工学科を志望した理由を教えてください。
化学の疑問を解けるようになったことが、進路を決めたきっかけ もともと理系科目の中では化学が好きでした。高校1年生の頃は薬学部を目指していましたが、高校2年生の夏頃に化学・バイオ工学科の存在を知り、化学を工学として学べることに興味を持ちました。
化学を好きになった大きなきっかけは、高校時代の化学の先生です。理論化学は当初、なかなか理解できず苦戦しましたが、疑問に思ったことを何度も質問しに行きました。そのたびに丁寧に教えていただき、少しずつ「分かる」ことが増えていきました。理解が深まるほど化学が面白く感じられ、もっと学びたいと思うようになりました。
また、高校生の頃からプラスチック問題にも関心がありました。オープンキャンパスで、プラスチックに関する研究が行われていることを知り、実際に研究室を見学したことで、「自分もここで最先端の研究に取り組みたい」と強く感じました。新しいプラスチック材料やリサイクルシステムの開発を通して、社会に貢献したいと考えています。
入学前には、化学・バイオ工学科にどのような印象を持っていましたか。
白衣で実験するイメージから、社会を動かす工学へ 入学前は、化学や生物を中心に学び、白衣を着て試験管を使いながら実験を続ける学科、というイメージを持っていました。
もちろん実験は化学・バイオ工学科の大切な学びの一つですが、実際に入学してみると、化学は実験室の中だけで完結するものではないと感じました。化学反応を社会に役立つ規模で考えること、反応の効率やコストを考えること、理論値からずれた原因を検討することなど、化学が社会の仕組みと深くつながっていることを学びました。
特に化学工学の視点を知ってからは、「反応を起こす」ことだけでなく、「その反応をどのように社会へ届けるか」まで考えることが、工学としての化学の面白さだと感じています。
高校で学ぶ化学と、大学で学ぶ化学・バイオには、どのような違いを感じましたか。
暗記から、原理を理解して考える化学へ 最も大きな違いは、有機化学を学ぶ中で、暗記中心だった化学が論理的な理解へと変わったことです。
高校までは、限られた反応式を覚え、その形をもとに問題を解く場面が多かったように思います。一方で大学では、電子やプロトンがどのように移動するのか、なぜその反応が起こるのかを理解して初めて、自分で反応式を考えられるようになります。
電子密度や電気陰性度、反応物の性質をもとに考え、反応の仕組みがつながった瞬間には、「なるほど」と感じます。単に答えを覚えるのではなく、根本的な原理から考えることに、大学で学ぶ化学の面白さを感じています。
実験と化学工学が教えてくれた、考える面白さ
特に印象に残っている授業を教えてください。
反応器を理解したことで、数式が「意味」を持ちはじめた 印象に残っている授業は、2年生で受講したプロセス工学基礎です。それまでは、数式の導出に苦手意識がありました。しかし、反応器の中で何が起きているのかを理解すると、物質収支式が自然に導かれ、そこからさまざまな式がつながっていくことが分かりました。
同じ考え方を繰り返し学ぶ中で、数式をただ覚えるのではなく、「なぜこの式が必要なのか」を自分なりに理解できるようになりました。自分の中で納得できたとき、初めて化学工学が楽しいと感じました。
現在は、反応効率やコスト、社会実装まで含めて化学反応を考える化学工学の分野にも興味が広がっています。
学生実験を通して、印象に残っている経験はありますか。
教科書の反応が、目の前で起こる面白さ 有機化学の実験では、反応式としてしか見たことのなかった現象を、自分の手で実際に行うことができました。色の変化や沈殿の生成を目の前で見ると、教科書に書かれていることが現実の出来事として感じられ、「自分は本当に化学に携わっている」と実感しました。
また、回分反応器を用いた実験では、反応率が条件によって変化し、理論値どおりには進まないことを学びました。反応条件、効率、コストなど、さまざまな要因を考えながら最適なプロセスを設計する反応工学にも興味を持つようになりました。
実験では、結果がなぜそのようになったのかを考察することに苦労することもあります。理論値との差を、単に「理想溶液ではないから」と説明するだけでは不十分です。操作方法や反応条件、文献値なども含めて考える必要がありますが、調べて考え抜いた末に納得できたときの達成感は大きいです。
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