九葉会とは
九葉会は平成26年4月1日現在、約7,000名の会員を擁する東北大学工学部化学・バイオ系の同窓会です。
現在、会誌「九葉会報」や会員名簿の発行、講演会などの活動をとおして年齢や業種を越えた会員相互の円滑なコミニュケーションを図っております。 設立当時の本会の趣旨について、会誌創刊号中の井上仁吉先生(本学科創設者の一人であり、第5代東北大学総長)の寄稿文から引用したのが以下の文章です(一部文体を現代仮名づかいに変更してあります)。
「九葉会の創立を祝して」
九葉会は第一回卒業生諸君の同窓会の名称なりしが今度之を拡張して化学工学科卒業生全体の同窓会の名称とすることになりし由実に慶賀の至りである。
抑も九の字義は糾に通し細き糸を交え合わして太き糸にする即ち「あざなふ」の義である。 小さきものを大きくし、細きものを太くし、弱きものを強くすることであるから如何にも積極的であって隆生繁栄の気持がする又く九葉の葉の字は何とも言われぬ可愛らしき感じを興へる。陽春に際会して種子が発芽し若き九つの葉が生えたかの様に生々溌剌たる気分が味はれ誠に芽出度き心持になる。 仍て此九葉なる命名の由来を一寸想像すれば葉に喩ふべき九人の若き卒業生が第一回に出られし為めかの様に考えさせられるが実は第一回卒業生は十三名を算せしこと故其ためでないことが判る。 併し其卒業年次は大正九年なりし故正しく九年の九より由来せしことに相違ないと思う。然るに今は偶然にも九の字が一層有意義となり糾合の義を付け加え得ることとなりしは奇しき縁ではないか。そうした意味に於て卒業生を糾合したる本会の設立は百数十名の卒業生ある現今に於て時機に適したことと思い欣喜に堪へない次第である。
如上の意味に於ける九葉会員即ち卒業生なる葉は化学工学科教室なる一樹に連かれたる兄弟なれば相倚り相扶けて共同の目的に向って努力せねばならぬ其目的の一つにして諸君に望む所は此樹を擁護して年と共に太く高く幹は強く根は深く枝葉彌繁茂して開花結実し以て有終の美を濟さしむることである。 此目的達成に缺くべかざる物質的方面の資料は教室経常費なる土壌、肥料及び水を根に興ふることで此れは政府の負担する所である、此樹の根に相当する教職員は此れにより幹枝を養い葉を茂らさんと努力せるも未だ幹枝も細く葉も多からず大樹とは言えない之をして鬱蒼たる東北の名樹たらしむるには容易に落ちざる葉であってほしく而して葉の職分を全うして貰いたい。蓋し葉の職務は日光の媒介により空中より炭酸ガスを摂取同化するにあり。 去れば本会員は紫外線の如き社会的活動力により空気の如き富豪連より炭酸ガスの如き金を摂取し之を萬葉の本家なる当教室に研究資金として寄付し以て研究業績を花の如く開かしめ進んで工学的成功、工業的貢献の実を結ばしめらんことを是れ蓋し如上目的達成上会員の一義務ならんか聊か所感を述べて祝詞に代ふ。