Interview
04

Tさん 化バイ先生
大学院工学研究科
応用化学専攻 博士後期課程(2025年度卒)
宮城県出身
Tさん
化学・バイオ工学科
学科広報担当教員
宮城県出身
化バイ先生

廃棄物を出さないナノ材料合成へ

化バイ先生

まず、本学科(化学・バイオ系)を志望された理由を教えてください。

Tさん

化学を幅広く学べる環境に魅力を感じて高校生の頃、通っていた予備校のチューターの方が化学・バイオ工学科の学生で、有機化学、無機化学、バイオ、化学工学など幅広い分野を学べる学科だと紹介してくれました。当時は「化学に携わりたい」という強い気持ちが先行していたこともあって、化学に関する将来の選択の幅を拡げられる可能性に魅力を感じて志望しました。

化バイ先生

博士課程への進学はいつ頃考えるようになったのでしょうか。

Tさん

博士課程を意識したきっかけ修士1年の3月に、他大学の博士学生の研究発表を聞く機会がありました。研究内容だけでなく、博士課程に進学した経緯などについても話されていて、博士課程の学生がとても生き生きとされていたのが印象的でした。その発表を聞いて博士課程への憧れを抱き、それまでは全く考えていなかった博士課程への進学を意識するようになりました。

化バイ先生

現在取り組んでいる研究テーマについて教えてください。

Tさん

超音波を利用した環境調和型ナノ材料プロセス専門は無機材料化学です。セラミックスと呼ばれる無機材料のナノ粒子を、超音波を利用して常温で合成する材料プロセスの開発に取り組んでいます。さらに、このプロセスでは廃棄物を出さないことも大きな特徴です。

化バイ先生

環境面でも意義のある研究ですね。

Tさん

はい。私がこの研究に興味を持ったのは、材料の高機能化だけでなく、その作り方そのものをより環境にやさしいものにできないかと考えたことがきっかけです。セラミックスナノ粒子は幅広い分野で使われる重要な材料ですが、製造時のエネルギー消費や廃棄物の発生といった課題もあります。そこで私は、超音波を利用することで、常温でも反応を進められる新しいプロセスの開発に取り組んでいます。まだ研究段階ではありますが、将来的には、材料の性能と環境調和性を両立したものづくりにつなげたいと考えています。

化バイ先生

博士研究の中で、最も苦労されたことは何でしょうか。

Tさん

超音波反応場について理解する難しさ超音波を使って粒子を合成する中で、なぜその粒子が得られたのか理由を考察することに苦労しました。超音波が形成する反応場では、無数の微小な気泡の生成と崩壊が絶えず繰り返されています。この現象は「超音波キャビテーション」と呼ばれ、これにより化学反応や洗浄効果など、さまざまな現象が生じます。私の研究では、超音波キャビテーションの効果を利用して、常温でセラミックスナノ粒子を合成しています。このようなミクロな現象は直接目で見ることはできず、また超音波反応場は非常に複雑な場であるため、超音波照射中に何が起きているのかを考察することは非常に難しいです。

化バイ先生

それらをどのように整理して、課題の克服につなげられたのでしょうか。

Tさん

自身の研究における実験結果と文献調査から推測される超音波の効果実験を繰り返しながら文献調査を並行して行い、超音波反応場に対する知見を深めていきました。課題解決に繋がった例の一つとして、私の研究では、金属粉末に対して超音波を照射してナノ粒子を合成しているのですが、粒子径の小さい微細な原料を用いると、反応があまり進行しないことがありました。私は、当初、粒子径が小さく比表面積の大きい原料の方が反応しやすいと想定していたので、この結果には非常に驚きました。そこで文献を調べたところ、微細な粉末原料は超音波キャビテーションの機械的作用によって破砕されにくいという報告を見つけました。これらの知見から、私の反応系では、超音波による金属粉末の破砕や微細化が重要であるという仮説を立てることができ、実際に、細かすぎず適度な大きさをもつ金属粉末原料がこの材料プロセスに適していることを確認できました。

化バイ先生

博士課程に進学して、どのような成長を感じましたか。

Tさん

博士課程で身についた研究者としての視点ある先生から「博士課程では、自分の指導教員も知らない領域を探索することが求められる」と聞いたことがあります。修士までの研究とは違い、自分で未知の領域を切り開いていくことが求められると感じています。研究テーマについて深く考え、自分の力で物事について調べ、研究をより新しい方向へと進める力が身についたと思います。

化バイ先生

博士号取得後の進路について教えてください。

Tさん

研究成果を社会へ来年度から素材系メーカーに就職し、金属やセラミックスの粉体・ペーストに関する研究開発に携わる予定です。学内には博士課程向けの就職関連フォーラムなども多数企画されていて、就職先選びに苦労はありませんでした。大学に入学したときの「化学に携わりたい」という希望も叶えられました。将来的には無機材料の研究開発を通して、社会に役立つ製品を継続的に生み出していきたいと考えています。

化バイ先生

最後に、博士課程を目指す学生へのメッセージをお願いします。

Tさん

博士課程を目指す学生さんへ博士課程への進学を迷っている方は、学位取得までの大変さや将来の進路について不安を感じていることが多いと思います。辛いことや困難はありますが、研究に没頭できる時間はとても貴重で、博士課程を振り返ると非常に有意義な時間だったと感じています。また、研究に没頭することで得られるものは、その研究分野における知見や知識だけではありません。数年間の研究活動を通じて、課題解決能力や不確実性に耐える力など、さまざまな能力が磨かれます。このような能力は、将来どのような職業についても十二分に生かされると思います。

Tさん

さらに東北大学の博士課程では、異分野の研究者と交流する機会や留学支援制度などが豊富にあります。広くさまざまな分野で国際的に活躍できる人材になる上で、本学の博士課程における経験は重要であると感じています。

Tさん

もし少しでも博士課程に興味があるなら、早めに指導教員の先生に相談してみることをおすすめします。先生と相談しながら進路を考えることで、より良い選択ができると思います。

Tさん

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