研究紹介 ナノコンポジット

ナノ材料の領域はバルクと原子の中間で、バルクにも原子にもない特有の性質を示す範囲であると定義されています。このような意味ではセラミックス系ナノコンポジットは旧来のマイクロレベルでの複合化と固溶による原子レベルでの制御の間に位置する非線形的材料改善・機能付与技術であり、この材料設計コンセプト(1986年:新原晧一先生 長岡技術科学大学前学長・大阪大学名誉教授)は現在に続くナノテクのさきがけといっても過言ではありません。ナノコンポジットの基本概念は、マトリックスである母相と分散相であるナノ粒子との熱膨張率、弾性率、ポアソン比との相違に起因して発生する分散粒子の内部や周囲に発生する局所残留応力の有効利用による分散相を用いたナノ組織構造制御です。ナノコンポジットの特性の向上や機能性の付与には高次に組織制御した構造が必要であり、それを実現するには焼結技術や粉末作製技術が重要です。ナノコンポジットの作製は、粉末冶金的な手法を基本とするために既存の設備で作製が可能な場合が多くあります。本研究開発では、超音波やマイクロ波の特異性を利用した固液系反応で、高度なナノコンポジット粉末(セラミックスナノコンポジット・金属/セラミックスナノコンポジット・有機無機ナノコンポジット)を合成し、様々な分野(エレクトロニクス・触媒・ハードコーティング等)への応用を目指して、開発を行っています。

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