東北大学 東北大学 大学院工学研究科・工学部 化学・バイオ系

九葉会 九葉会 KUYOKAI

会長挨拶

令和4年
滝澤博胤(昭和60年応化卒、島田研)

九葉会会員の皆様には益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。2022年4月より、塚田隆夫前会長の後を受け、九葉会会長を務めさせていただくこととなりました。応用化学専攻分子システム化学講座極限材料創製化学分野を担当しておりますが、現在、東北大学理事・副学長として大学全体の教育・学生支援を所掌する立場でもあります。よろしくお願い申し上げます。

2022年は東北大学創立115周年の年にあたり、また、法文学部が設置(1922年)されて総合大学としての歩みをはじめてからちょうど100周年であったことから、10月には全学的な規模で記念式典が挙行されました。「総合知」を掲げた研究大学としての100年を超える歩みの中で、化学・バイオ系の諸先輩方が残されてきた輝かしい功績・伝統を引き継ぎ、未来社会の担い手を育成する責務をあらためて認識した次第です。

さて、この2022年という年は、社会の大きな転換点として位置付けられることになりそうです。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、長く続くコロナ禍で疲弊した国際社会にとって大きな衝撃をもたらしました。紛争の規模は想定を超えて拡大し、国際社会は打つ手のないまま、いたずらに長期化を招いています。第2次世界大戦後に誕生した国際連合や、1990年代の冷戦終結後の新秩序というものが、その機能を果たせないままに日々の出来事を傍観せざるを得ない状況を見るに、忸怩たる思いを抱えた方も多いことでしょう。世界情勢の激動はエネルギーや金融などあらゆる分野に波及し、未だ終息しないコロナ禍とともに人類の未来に暗い影を残しています。わが国においても、多くの社会問題が顕在化した1年でした。社会が失いつつある「寛容さ」を取り戻すには、私たち一人ひとりが社会のあり様を問い直す必要があるのかもしれません。

ケミストリー(chemistry)は学術用語としては「化合する、化学」という意味の言葉ですが、本質的には「相性や調和によって引き出される効果(The complex emotional or psychological interaction between people.)」という意味があります。社会の転換点を迎えた現在にあって、相性と調和によって「より良き社会、未来像」を創っていくのが、化学の薫陶を受けた私たちの使命と思います。混迷の時代を乗り越え、新しい未来社会に向かって、皆さまと共に努力してまいりたいと思います。

九葉会会員の皆さまの益々のご健勝、ご活躍をお祈り申し上げます。