研究室公開化学・バイオ系研究棟 3階 E306号室
機能性材料(カーボンブラック)の未知に迫る
化学工学コースプロセス解析工学講座(青木研究室)
http://www.che.tohoku.ac.jp/~tranpo/
タイヤやプリンターのトナーなどの原料になる機能性材料として生産されるカーボンブラック(CB)は重油を熱分解することにより得られますが、その生成機構は非常に複雑です。まず、熱分解反応により多環芳香族炭化水素(PAH)が生じ、CBの粒子核が発生します。これに物理的な凝集や化学反応による表面成長により一次粒子が形成され、さらに凝集が進むと、製品に近い凝集体となります。CBは凝集体の形状によって機能性が大きく異なるため、産業界からは精密な形状制御方法を開発されることが期待されています。しかしながら、その生成機構は様々な説が提唱されているものの、未知の部分が多いのが現状です。
そこで青木研究室では、CBの生成機構を解明することを目的に熱分解実験とコンピュータ・シミュレーションを駆使し、高温時のCBの生成においてPAHの分子構造が反応に多大な影響を及ぼすことを世界で初めて明らかにしました。今回のオープンキャンパスでは、高校で学ぶ有機化学の発展系である、実験やシミュレーションによる最先端の化学と物理の融合研究を紹介します。