研究室公開総合研究棟 6階 608号室
バイオ分子の進化 -自然にない機能を生み出す-
バイオ工学コースタンパク質工学分野(梅津研究室)
http://www.che.tohoku.ac.jp/~prn/
「タンパク質」は食品成分の一つとして身近なものですが、本当の姿は遺伝子が持つ情報が「機能」として初めて表現される重要な分子で、様々な産業で活躍しています。特に医薬分野では、副作用が小さく治療効果が高い医薬品をつくることができるため、世界的に激しい競争がおきています。20種類のアミノ酸が重合したタンパク質は、アミノ酸の配列が変わることによって様々な機能を持ちます。2018年のノーベル化学賞には、自然界でおこる進化を試験管の中でまねて自分の好きな機能をもつタンパク質を創りだす「進化分子工学」の研究が選ばれました。私たちは、この進化分子工学に人工知能を組み合わせて天然にはない構造や機能を持つタンパク質を生み出し、医療、環境、ナノテク分野に役立てようと研究しています。
(1)AI&進化分子工学による新機能タンパク質の開発
進化分子工学にAIを組み合わせることで、自然界では起こらなかった合理的な進化を試験管の中で行うことができます。
(2)がん治療を目指した人工抗体
がん細胞に結合する部分とがんを攻撃する細胞(免疫細胞)に結合する部分を組み合わせて、免疫細胞が効率よくがん細胞を攻撃できる抗体を創りだせます。
(3) ナノテクへの応用を目指した結合タンパク質
生物進化を模倣した遺伝子操作を用いて、無機材料に結合するような自然界にはない機能を持つタンパク質を創ることが可能になり、基板上へのタンパク質・ナノ粒子・細胞の集積が可能になり、高感度な医療用センサーなどへ応用できます。