研究室公開総合研究棟 13階 1306-1-2号室
バイオものづくり―微生物から植物、魚類を生体機能をうまく使う―
応用化学コース有機反応化学分野(田丸研究室)
https://www.ytamaru-kun.com/
地球温暖化防止やSDGsの観点からサーキュラーエコノミーに注目が集まっています。化石資源の使用を低減して、再生可能なバイオマスや大気中の二酸化炭素を直接利用するバイオテクノロジーが2050年のゼロエミッションに向けて重要な鍵になります。田丸研究室では、微生物、植物、動物の生物機能を活用し、組換えタンパク質・抗体生産やグリーンケミカルに役立てる研究をしています。
(1)未利用バイオマスからのグリーンケミカル製造
嫌気性微生物Clostridium属細菌によるバイオマスの分解・糖化・発酵プロセスに注目し、分解・糖化した炭素源からバイオアルコールやバイオポリマー原料の生産を行うことができます。
(2)魚類バイオテクノロジーを活用したバイオ医薬品・細胞治療への応用
ゼブラフィッシュの受精卵に創薬標的タンパク質を発現させて、これを抗原としてスイホウガンの水泡液中に免疫すると特異的IgMが取得できます。この時、水泡液中のB細胞からIgHとIgLの両遺伝子を一本鎖抗体にすると抗体医薬品になり、これをがん患者T細胞表面に提示するとCar-T細胞療法に応用できます。
(3) 次世代放射光施設ナノテラスを用いたバイオイメージング
ナノテラスの軟X線を利用することで細胞壁構成成分の分光分析が可能になり、セルロースやヘミセルロース、リグニンなどの植物バイオポリマーの分布を可視化することができます。また、魚類の骨形成や微生物飼料が体内でどのように消化されるのかなど、これまでに例のないバイオイメージングが可能になります。