研究室公開総合研究棟 5階 506号室
遺伝子組換え技術の可能性を探る
バイオ工学コース応用生命化学分野
http://www.che.tohoku.ac.jp/~seika/index.html
全ての生物は細胞によって構成されています。その細胞機能を正常に維持するためには、「酵素」というタンパク質触媒による複雑な代謝経路の制御が重要です。特に、自立的な移動が難しい植物や微生物は,環境変化に対応するための巧妙な生存戦略として細胞内で多様な酵素反応を発達させ、多種多様な構造の化合物を生合成しています。それらは、私達人間にとっては、未知の薬理活性や生理活性の可能性を秘めた新奇化合物の宝庫でもあります。私達の研究室では、生物からその様な新奇酵素を取り出し、その反応触媒メカニズムを分子レベルで解明したうえで、工学的に応用することを目指しています。
酵素などのタンパク質の設計図は遺伝子に書き込まれているため、酵素機能の応用のためには遺伝子工学技術が不可欠です。例えば、植物中にごく少量含まれる有用化合物の生合成酵素の遺伝子を取り出し、増殖速度の早い微生物に組み込むことで、酵素や目的化合物を微生物中で大量に合成させることが可能となります。また、酵素の設計図たる遺伝子配列を操作することで、新たな機能を与えた酵素をデザインすることも出来ます。さらに、遺伝子組換えにより新たな代謝経路を付与することで、新たな花色を示す花の品種を創り出すことなども可能となります。
研究室公開では、遺伝子工学を身近に感じてもらうため、遺伝子の化学的本体であるDNA についてわかりやすく説明します。また、遺伝子工学技術で作出された自然界に存在しない色の花や、光るタンパク質を導入した植物細胞などの実例についても説明します。
野生型トレニア(左)と、黄色色素を合成する酵素を導入した組換え型トレニア(中央)
蛍光タンパク質の遺伝子を導入した植物細胞(右)