アルツハイマー病(認知症)の予防・治療トップ > 研究内容

研究内容

認知症の主要疾患であるアルツハイマー病は未だ真に有効な予防および治療手段が確立しておりません。一方、超高齢化社会を迎えたわが国においてこの病気が増加し続けているため、深刻な社会問題となっております。
そのため、より安全なアルツハイマー病治療、予防法の開発が待望されています。このような背景を元に当研究部門では、平成19年よりアルツハイマー病の予防および治療に有効な機能性食品の開発に必要な基礎および応用研究を行っております。
柑橘類成分ノビレチン、ローヤルゼリー、あるいはノビレチンとローヤルゼリーを併用したときの効果について培養細胞を使った検証実験など、科学的な検証をしています。研究内容は以下のとおりです。

研究内容

  • 柑橘果皮成分ノビレチンの機能性食品としての応用
  • ローヤルゼリーおよびノビレチン併用による相乗効果
  • ローヤルゼリーのアルツハイマー病予防効果の検討

アルツハイマー病脳においては、いくつかの重要な神経病理変化が観察されますが、その代表的な特徴の一つである老人斑は、分子量4 kDa程度のアミロイドβ蛋白(Aβ蛋白)が線維化し細胞外に沈着したものです。老人斑に加えて、タウ蛋白リン酸化による神経原繊維変化や広範で高度な神経細胞脱落も認められます。これらの神経病理所見を説明するものとして、「アミロイド仮説」は多くのアルツハイマー病研究者の支持を得てきました。アミロイド仮説とは、Aβ蛋白→タウ蛋白→神経細胞脱落→認知症状として、Aβ蛋白を根本的発症原因に最も近いものとする考え方です。このアミロイド仮説によれば、1)Aβ蛋白はタウ蛋白リン酸化などのすべての事象を引き起こす;2)Aβ蛋白の沈着が阻止できれば、神経原繊維変化や神経細胞脱落は起こらず、アルツハイマー病の発症を阻止できると考えられます。また、アルツハイマー病は認知機能低下などの症状が現れるおよそ20年も前から脳内にAβ蛋白が徐々に蓄積して進行していく病気であります。そのため、Aβ蛋白を制御する有効な機能性食品の開発は、より簡便で安全なアルツハイマー病予防法として重要な役割を果たせると期待されております。