東北大学 大学院工学研究科 バイオ工学専攻 生体機能化学講座 タンパク質工学分野
Smart Bio-Design:合理的に蛋白質をスマートに設計する

 量子力学の父であるエルヴィン・シュレーディンガーが1944年に「生命とは何か(What is life ?)」を執筆し、物理的法則の延長上に生物を理解する概念を提案しました。これが分子生物学の始まりと言われています。その後、遺伝子工学が発展し、遺伝子の機能表現型である蛋白質のアミノ酸配列を改変できるようになった1980年代に年にProtein Engineering (蛋白質工学)が提唱されました。現在では、大腸菌などの宿主細胞に目的遺伝子を導入することによって組換え蛋白質を大量に生産することができ、特定位置の残基を自在に変異させることや自分の好きなアミノ酸配列を持つ蛋白質を合成することも出来るようになってきました。さらに、分子量が約1000万のタンパク質複合体でも立体構造を原子レベルで描写し構造的視点から蛋白質の機能を詳細に記述することが可能になりつつあり、年間1万件程度のペースで構造と機能のデータが蓄積され続けています。蛋白質は、他の有機・無機材料と比較すると構造安定性は劣ります。しかし、このデータベースに示されるように、構造・機能の多様性と特異性の面では他素材を凌駕している分子です。私達は、この構造・機能の多様性と特異性を生かした蛋白質の利用価値を探る研究をしています。

医療:腫瘍がんを治療・イメージングするスマート抗体
環境:高効率にバイオ燃料生産するハイブリッド酵素
ナノテク:勝手に組み上がるナノデバイス

 蛋白質は、アミノ酸が脱水縮合したポリマーであり、その配列情報に従って折りたたまれて3次構造を持つドメインを形成し、さらに、それらドメインが相互作用して、4次構造を形成します。蛋白質を機能の面で考えると、ドメインの形成が機能発現の最小単位になっていることが多く、構造・機能としても最もデータが蓄積されている単位(モジュール)はドメインです。私達は、この現在蓄積されているドメイン単位の構造・情報データベースを膨大なモジュールライブラリーと捉え、様々なモジュールを融合させる積木細工的発想で、利用目的に特化して高機能なスマート蛋白質を設計する方法論を現在研究しています。この方法論を基本プラットフォーム技術として、医療・環境・ナノテク分野に貢献できる蛋白質の設計を行っています。

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