電気化学的現象に立脚した、新規計測システムの開発:細胞数百万超から構成される組織モデルとして、マウス胚性幹(ES)細胞由来の細胞塊である胚様体を分化誘導し生細胞の高解像度イメージングに適用可能な多機能ピペット探針の開発に取り組む。油水界面の電気的制御により、細胞の体積の1 %以下に相当する細胞質試料を回収し、低侵襲的な1細胞分析システムの構築をめざす。組織モデルのゲル包埋培養系でナノマテリアルの影響を調査し、得られた情報を組織モデルの品質向上にフィードバックさせる。
電気化学イメージングデバイスの開発と化学センシングへの応用:電気化学イメージングの新規デバイスの開発に携わり、電流検知型デバイスとしては異例のスループット(1,024点)を誇る多点電極チップに基づく多検体・多項目分析系を構築した。さらに新たな取り組みとして、ハイドロゲルシート中にカーボンナノチューブ(CNT)を配向固定化したバイポーラ電極(bipolar electrode, BPE)型の素子をプラットホームとするハイスループット・マルチセンシングを実施する。センシングの対象を新たに開拓することで、近未来の社会システムにマッチする医療診断応用、環境モニタリングへの応用展開を目標とする。