植物の環境応答に関わる
シグナル伝達経路の解明

Plant signal transduction in response to environmental stresses

 自立的な移動手段を持たない植物は、様々な環境の変化に応答するために、他の生物種にはみられない独自の巧妙な適応機構を獲得してきました。植物に多種多様な二次代謝産物が存在する一因も、そこにあります。植物代謝産物は、細胞内に放出され環境応答に関わる一連の遺伝子発現を誘導するシグナル伝達物質として機能したり、細胞外へ放出され防御物質として働いたり微生物との共生を促すシグナル伝達物質として機能しています。そこで、私たちの研究室では、植物二次代謝産物の持つシグナル伝達物質としての機能と、その伝達経路の解明を目的に研究を進めています。
  イソフラボンは植物二次代謝物のなかでも大きなファミリーを形成するフラボノイドに含まれる化合物であり、ダイズをはじめとするマメ科植物に多量に含まれることがよく知られています。イソフラボンは高等植物中において、抗酸化作用やUV-B防御機能など様々な生理活性を示すことが知られていますが、とりわけ重要な機能としては、窒素固定のための微生物共生におけるシグナル分子としての役割と、植物病原菌感染に対する抗菌物質(ファイトアレキシン)としての役割が報告されています(図D)。従来の研究では、イソフラボンの代謝調節に関わる酵素の全容が明らかにされていませんでしたが、私たちの研究室では最近、一連の酵素の単離・同定に成功しました(「新奇生化学反応の探索と遺伝子工学」の項参照)。そこで、これらの代謝酵素のシグナル物質としてのイソフラボン制御への関与を遺伝子工学的手法により解析しています。

   
     

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