遺伝子発現ネットワーク解析による
転写制御因子の探索

Network analyses of gene expressions

   
  図C モデル植物シロイヌナズナ  
  代謝経路の各段階をコードする酵素の遺伝子発現は転写制御因子によって厳密に制御されています。また、同じ代謝経路に関わる各酵素は時空間的に共存する必要があるため、それらの遺伝子発現は協調的に制御されている例が多く見られます。つまり、ある代謝経路に関わる酵素遺伝子の発現を同調的に制御している共通の転写制御因子の存在が示唆されます。私たちの研究室では、植物有用物質の生産を増強させるため、その代謝経路に関わる個別の酵素を増強するのと同時に、代謝経路の複数の酵素遺伝子発現制御に共通して働く転写制御遺伝子を探索することで、より効率的な高生産系の構築を目指しています。
  私たちは現在、イソプレノイド代謝に関わる転写制御因子の探索を進めています。カロテノイドやビタミン類、キノン類など、葉緑体中で生合成される植物イソプレノイド化合物の有用性は近年大きくクローズアップされています。そこで、モデル植物シロイヌナズナ(図C)の葉緑体におけるイソプレノイド生合成経路の各段階を触媒する酵素の協調的な遺伝子発現と関連のある転写制御因子候補を、システムズバイオロジー的アプローチによりピックアップしました。それらを過剰発現させた植物細胞において、実際にイソプレノイド生合成の複数の酵素の遺伝子発現が同時に上昇していることが明らかになりました。これらの転写制御因子の上流に存在する細胞内シグナル伝達経路の全容解明と、遺伝子工学的な応用にむけて研究を進めています。

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