タンパク質間相互作用や細胞内輸送制御による
代謝酵素の活性調節機構解明

Molecular biology of metabolic regulation

 多くのタンパク質は、発現後に種々の細胞内輸送経路を介して適切な細胞内小器官へと運ばれ、本来の機能を発揮します。有用二次代謝物の代謝経路を人為的に制御するためには、そこに関わる複数の酵素タンパク質をどこで発現させるべきかを解明する必要があります。私たちの研究室では、フラボノイド生合成やイソプレノイドの一種であるポリプレノール生合成に関わる酵素タンパク質の細胞内局在をGFP(緑色蛍光タンパク質)をレポーターとした解析を行っています。当研究室では、T87シロイヌナズナ培養細胞株(図A)への遺伝子導入による簡便で特殊な装置を必要としない局在解析法を開発しました。これにより、無傷の生細胞におけるダイナミックな酵素タンパク質の細胞内局在の観察ができる様になりました(図B)。また、タンパク質に対する抗体を作製し、間接蛍光抗体法を用いたタンパク質局在解析を行うことで、ダイズの根などの本来の植物器官における酵素タンパク質の発現局在の解析にも成功しています(「新奇生化学反応の探索と遺伝子工学」の項参照)。
  タンパク質の活性制御において、他のタンパク質との相互作用や修飾酵素によるタンパク質修飾が重要であることが重要です。また、同一の代謝経路における複数の酵素が複合体を形成することにより、基質の受け渡し効率を上げている例も報告されてきています。そこで、私たちは酵母ツーハイブリットシステムをベースとした、代謝酵素の活性制御やターンオーバーに関わると予想される相互作用タンパク質の単離・機能解析を行っています。一例としては、フラボノイド代謝における鍵酵素であるカルコン合成酵素と相互作用するタンパク質の単離に成功し、その代謝系における機能解析を進めています。

   
  図A T87シロイヌナズナ培養細胞  

   
  図B 様々なタンパク質の細胞内局在解析  

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