難分解性有機質の分解
微生物の探索と応用酵素学

Biodegradation of organic materials

   
  図 微生物学実験のひとこま  
コラーゲンは動物の体を構成するタンパク質の三分の一以上を占める構造タンパク質で,皮膚,骨,腱などの主要構成成分です.コラーゲンの酵素的分解物にはヒトに好ましいさまざまな生理活性が認められ,コラーゲンの酵素的分解は食品産業や生物医学分野において近年ますます重要なプロセスとなっています。以前から、工業的利用に耐えうる安定性の高いコラーゲン分解酵素が強く望まれ、またコラーゲン分解を酸性条件下で行うことの産業上のメリットも指摘されていました.しかしながら既往のコラゲナーゼは例外なく不安定であり、そのような条件での利用は困難でした。私どもはこうした点を克服すべく鋭意探索研究を行い、そのような目的にかなった酵素を生産する新種の細菌Alicyclobacillus sendaiensis NTAP-1株(図5)を青葉山公園の土壌から分離しました。
   
     
   
     
菌は好熱好酸性細菌であり、酸性領域で最大活性を示す耐熱性コラゲナーゼ(kumamolisin-As)を菌体外に分泌します。kumamolisin-Asの結晶構造を1.8Aの分解能で決定した結果、本酵素は特異な触媒装置を有する新しいタイプのセリンプロテアーゼであることが判明しました(図).本酵素は現在、上に述べた各方面でその利用が検討されています。

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