■ヘミセルロース
ヘミセルロースは、木質系バイオマスの主な構成成分の一種です。このヘミセルロースを出発物質とすると、左上図のように段階を経て、
1,5-ペンタンジオール(1,5-PeD)を生成することができます。1,5-PeDは、ポリマーの原料として期待されている高付加価値物質であり、バイオマス原料からの変換技術の開発が求められています。

ヘミセルロースから1,5-PeDの変換経路の中でも、比較的困難な部分が、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)から1,5-PeDへの変換です。
従来の変換法では、多段階にわたる反応を要し、各段階での中間体の精製も必要となるため、多くの手間を要することが問題点の一つとなっています。
そこで本研究室では、THFAから1,5-PeDへの変換を、触媒反応を用いて効率的に行う方法を検討してきました。
さらに、触媒としてRh-ReOx/SiO2、Rh-ReOx/C、Rh-Mo/SiO2を用いたところ、1,5-PeDを高収率(80%以上)で得ることができ、
様々な触媒の検討を行った結果、

この値は、現在(2012年1月)での世界最高クラスの収率となっています。
この中でも特にRh-ReOx/Cを用いたとき、最高収率が94%となり、従来法での収率を(70%)大きく上回りました。
THFAを位置選択的に水素化分解(C-Oの切断+H2の付加)することで、1段階で1,5-PeDを合成すること可能となりました。