微粒子は目に見えないほど小さなものですが、私たちの身の周りで様々な用途に使われており、私たちの生活向上に大きく貢献しています。近年では、微粒子を規則的に並べた粒子配列構造の作製に関する研究に注目が集まっています。限定空間に閉じ込められた微粒子同士には相互作用が起こるため、微粒子単体とは異なる新しい機能や特性の発現が期待できます。その用途は幅広く、刺激によって色が変化する光学材料、赤外線照射によってがん細胞を殺傷する医療材料、など様々です。
わたしたちの研究は、サイズや形状が均一な微粒子を組み立てブロックのように並べ、また積み上げて新しい構造を作ることです。組み立てブロックとして使用する微粒子のことをビルディングブロックと呼び、それを自分たちで作ることから研究が始まります。分子を自己組織的に組み立てるアプローチによりビルディングブロックとなる微粒子を作ることもできます。図に示すように、微粒子を自分でデザインし、その粒子を自在に操って思い通りに並べ、配列させて構造を創る。想像しただけでわくわくしませんか?わたしたちも時には遊び心を持って楽しく研究に取り組み、美しい形の微粒子ができたときは感動します!作った微粒子を配列させるのにも工夫が必要で、動画では電場と磁場を作用させて微粒子を配列させている様子を紹介しています。オープンキャンパス当日は、微粒子の作り方、配列を制御する方法について説明し、配列構造によって生み出される機能について紹介します。ぜひ参加してみてください!
当分野では、表面・界面を利用したボトムアップ的手法により高分子をナノメートルスケールで構造制御することで、有機・無機を問わず様々なナノ材料と組み合わせることができ、ちょっと変わった面白い機能発現へとつながります。高分子ハイブリッドナノ材料の特性を明らかにすることにより、新素材の研究開発を行っています。
1. 機能性高分子ナノシートの構築
両親媒性高分子を水面上に展開することで分子1つ分という究極の薄さを持った高分子ナノシートが得られます。このナノシートを機能性素子の基盤材料として展開・応用するため基礎研究を行っています。例えば接着・吸着能力を有する高分子ナノシートや凝集誘起発光を示す高分子ナノシート、強誘電性を有する高分子ナノシートなど、超薄膜構造制御による機能性発現・制御を目指しています。
2. ボトムアップ的ハイブリッドナノ材料の開発
有機材料と無機材料を適切に組み合わせること(ハイブリッド化)で、両者の特徴をそなえた光電子機能、および耐熱性や機械的強度の劇的な向上が期待できます。そこで、高分子微粒子、酸化物ナノ粒子のハイブリッド集積技術や環状シロキサン系ポリマーやセルロースナノ材料による機能性ハイブリッドナノ材料の開発を行い、薄膜オプトエレクトロニクスやインテリジェントマテリアルへの展開を目指しています。