東北大学 工学部 化学・バイオ工学科

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見学コースE

固液界面真空工学
~真空で安定な液体を使った新しい材料プロセス~

<化学・バイオ系研究棟 4階 E404号室>

 私たち松本研究室では、電子・情報・環境・エネルギー技術の開発に役立つ、新しい物質合成法の開発と物性・機能探索に取り組んでいます。中でも特に力を入れているのが、私たちが提唱する革新型グリーン材料ナノプロセスである「固液界面真空工学」です。これは、宇宙空間レベルの超高真空環境において、ナノサイズの液滴をフラスコのように反応場として活用する新しい材料プロセスです。液滴には、高温・真空下で安定化させた酸化物融液や、真空中でも液体として安定なイオン液体のような有機溶媒などを用います。プロセスでカギとなるのは、真空蒸着とよばれるナノテク技術です。原料物質をレーザーや電子線によって真空中で原子・分子の蒸気に変換し、基板パレット上の液滴に打ち込むことで液滴の中で結晶成長を行ないます。私たちはこのプロセスを駆使することで、高温超伝導体や次世代パワー半導体などの無機機能材料のみならず、トランジスタにもなる有機半導体単結晶、表面が超平坦な塩のマイクロクリスタルなどを合成してきました。
 研究室公開では、こうした液体を真空環境で上手に利用するための得意技の1つ、高温真空レーザー顕微鏡と呼ばれる特殊な顕微鏡をご紹介します。真空中で1000°Cを超える温度環境でまさに金属やセラミックスが液化したり、液滴同士が合体したりして行く様子を実際に見てみましょう。

固液界面真空工学

光機能性材料の化学

<化学・バイオ系研究棟 5階 W506室>

 皆さんは、光を使った技術や製品というと、どのようなものを思い浮かべますか? 代表的な製品として、各種の発光材料が挙げられます。最近の例では、青色発光ダイオードの開発競争が激しかったことが記憶に新しいかと思います。この場合には、発光色(発光の波長)を変化させることが重要な課題でありました。また、発光材料のみでなく、光を使った通信は既に実用化され、光による演算やメモリ機能の実現・高度化に向けた研究も盛んに行なわれています。これらの光技術を実現し、さらに高性能にするためには、光をあやつるための高性能な素材を開発する必要があります。
 我々の研究室では、各種の発光材料はもちろんのこと、光演算を目指す材料、光学材料と「磁石」との結合を目指した材料などを作製しています。このような目的のためには、物質中の電子の状態を制御する必要があります。そのためには、さまざまな種類の元素を利用し、あるいは多様な化学結合状態を有する有機分子を用います。さらには、電子の「波」としての性質を利用し、半導体などのサイズを非常に小さくすることにより、その中の電子状態を制御します。例えば、図の写真では、同じ組成の半導体の粒子について、ナノメートルスケール(1ナノメートル=100万分の1ミリメートル)での大きさの制御により、そのサイズの変化のみで、発光色(≒発光波長)の制御が可能であることを示しています。

光機能性材料の化学