東北大学 工学部 化学・バイオ工学科

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見学コースD

超臨界-触れて!見て!

<総合研究棟 4階 401号室>

超臨界流体は何に使われているの?

物質は温度と圧力に応じて形を変化させます。最も身近な物質である水を例にとると、大気圧下において氷点下では「氷」、0℃で「氷→水」になり、100℃で蒸発して「水→水蒸気」になります。圧力が高くなるとこの温度は変化します。ただし、臨界点を超えた超臨界流体は圧縮しても状態が変化しません。私たちはこの超臨界流体としての水と二酸化炭素(CO2)を用いて、地球環境に優しいプロセスについて研究しています。
 超臨界流体は液体よりも拡散しやすく(サラサラしている)、固体の隙間に入り込み、内部の成分を溶かし込む性質があります。この特徴を生かし、超臨界CO2 を用いた最先端研究では、ビールの原料であるホップからの香気・苦味成分の抽出や、未利用乳素材からは有用脂質の抽出実験などが行われています。このようにして、天然物由来の資源から「香り」や「味」を取り出すことで、特定保健用食品などへの実用化に向けた基盤研究を進めています。当日は実際に超臨界CO2 でコーヒーなどから取り出した「香り」を展示します。


圧力によるCO2の液体⇔気体の変化(凝縮⇔蒸発)を見てみよう?

 大気圧では、CO2の固体(ドライアイス)は液体にならずに気体に変化します。しかし、圧力が高い状態では液体⇔気体の変化(凝縮⇔蒸発)が観察できます。圧力を下げると蒸発、逆にあげると凝縮が起きますので、CO2 の蒸発や凝縮が観察できる装置と、観察映像を公開します。この装置では容積を変化させることでCO2の圧力を変化させることができます。CO2 が水のように気泡を出しながら沸騰、また雨のように降ってくる凝縮の様子を見てみましょう!

超臨界̶触れて!見て!
可視窓付き体積可変高圧セルとその仕組み

高圧流体によるグリーンエンジニアリング・資源循環プロセス

<総合研究棟 4階 407室>

 私たち渡邉研究室では、工学分野と農学分野の融合領域であるアグロエンジニアリング分野に着目し、水・二酸化炭素・イオン液体といった環境調和型溶媒を用いた資源変換プロセスの構築を目指して、化学工学的な基礎研究を行っています。 中でも水は、地球上に最も豊富に存在する溶媒でありながらも、高温高圧状態にすることによりセルロースやタンパク質といった天然高分子を分解し、有用な化合物へ変換することを可能にします。
 オープンキャンパスでは、コーヒーが私達の手元に届くまでを辿りながら、当研究室で行なっている研究内容を各場面に関連させつつ紹介いたします。 具体的には、コーヒー焙煎において高圧反応器としてのコーヒー豆がどのような反応場を形成しているか、また熱水や超臨界二酸化炭素による抽出ではどのように分離場が設計されているか、といったことを紹介しつつ私達の研究内容との関連性を考えます。