本文へスキップ

東北大学大学院工学研究科 化学工学専攻 プロセス要素工学講座 材料プロセス工学分野


アクセス
 アクセス

研究内容RESEARCH

材料の微視的空間配置を精密に制御するビルディングブロック工学
 ―「微粒子を集めて創る」新しい機能性材料作製法の開発 ―

 化学工学専攻では、化学やバイオが関連する様々なモノ(製品)の作り方について研究しています。製品の中核をなす材料の機能は、その化学組成や分子構造で主に決まるとされてきました。そのため従来の機能性材料の開発は原子・分子の視点(Å(=0.1nm)程度の尺度)で進められてきました。
これに対して我々は、数10nm~1μm程度の「大きさの揃った微粒子」を原子・分子に見立て、それを2次元/3次元で組み上げて創る新しい材料創製法について研究しています。この手法を使えば、原子・分子を単に混ぜただけでは得られない新しい機能を創出できるようになります。


ビルディングブロック工学とは

大きさ・形状・化学組成を精密に制御した微粒子を3次元で組み上げる新しい材料プロセッシングの実現に向けて

 材料の特性は、その材料を構成する要素(サブユニット)のサイズや材料の種類によって大きく変わってきます。種類の異なるサブユニットを混ぜ合わせれば、異なる特性を併せ持った新しい材料を生み出せるはずです。しかし実際は、複数の材料を単に混ぜ合わせても、期待したような混合(複合化の)効果が得られない場合が多くあります。ここには、混ぜ合わせたサブユニット材料の本来の特性を機能として引き出せていない現状があります。
 これに対して我々は、大きさ、形状、化学組成が精密に制御された単分散な微粒子を、材料の構成要素(ビルディングブロック)として捉え、その集積体(粒子規則配列体だけでなく、薄膜状に集積された材料も含みます)から新たな機能を引き出すことをねらいます。単分散微粒子に特異的に見られる自己組織化現象だけてなく、電場や磁場等の外部場も積極的に活用して、構成要素となるビルディングブロックを思いの場所に選択的に集積・配列させるプロセスを、単分散微粒子(ビルディングブロック)の合成プロセスとともに検討していきます。また、微粒子形成メカニズムや、微粒子が集積した状態でどのように機能が発現するかについても定量的に検討し、材料プロセッシングに関する新しい方法論を提案することもねらいます。




特徴・独自性

 異種材料を複合化した材料は、構成する材料の複合化状態によって、発現機能が大きく異なります。粒径や形状を制御して微粒子を合成できる技術と、合成した微粒子を設計通りに集積させる技術の融合によって実現する「ビルディングブロック工学」では、構成材料の3次元的な空間配置をメゾスコピックスケールで精密に制御することができ、従来の材料開発では得られなかった優れた機能の発現(相乗効果)や、新たな機能の発見も期待できます。


想定される用途・業界

 触媒(光触媒も含む)や分離カラムなどの化学関連プロセスのみならず、薬物送達システムや診断薬など医薬関連、コンデンサーや電池などの電子材料関連、屈折率制御材料やセンサーなど光学材料関連分野への用途展開が見込まれます。

  ※画像をクリックすると拡大されます。