H20化学B「化学熱力学」資料随時更新配付資料,解答例は要パスワード

環境科学研究科 壹岐 伸彦


10月1日 第1回目 イントロダクション (約60名出席) (配付資料スライドレポート課題レポート解答

アナウンス:

  1. 2単位の授業1回あたり4時間の予習復習が必要(シラバス記載).自習を強く希望する.
  2. レポート課題の提出要領


10月8日 第2回目 熱力学第一法則 (69名出席) (配付資料レポート解答

アナウンス:

  1. 関数電卓を準備すること.
  2. レポート解答コピーを保持し,自分で答合わせをすること.
  3. 次回レポート課題の問2について過程(iii)に関する解答はしなくて良い

前回レポートの講評(解答は10/1の欄にリンク)

 レポート課題を真剣に解いている様子がうかがえる.9割以上の正答を得た.不正解の方々の間違いは,水の定圧モル熱容量に1cal/g℃を使用しているところにあった.うまくcalをJにgをmolに単位換算して,正解している人もいたが,表1-3を利用して頂いて構わない.この表を見て,出題に登場した金属は銅である,と述べている解答もあった.その通りである.次回も健闘してほしい.



10月15日 第3回目 エントロピーの定義  (配付資料レポート解答

前回レポートの講評

問2

(a) 数値の桁数が3桁小さい誤答が多い.「おかしい」と思ってください.次の問でこの気体が外圧P(e) = 3.0×104 Paに抗して仕事をするでしょうか?原因は1 m3 = 1 L(リットル)としたところにある.1 m3 = 1000 Lである.また,気体定数として何を使用して良いかわからないもの,気体の圧力としてatmを算出後,Paに変換しているものもあった.これからはSI単位系を使う.

(b) QとWの符号を取り違えている誤答が散見された.両者とも,系に加えた,系に作用させたときに正と定義している.だからこそΔU = Q + Wである.(ii)についてW = −nRTln(Vf/Vi)のlnをlogと取り違えている誤答も目立った.もったいない.

(c) 「(i)と(ii)の最終状態は同じ体積V,温度Tである.従って同じ圧力Pになるはずだ」と考えてほしい.Pも状態量だ.しかし,(i)と(ii)とで異なる数値を出している誤答が散見された.誤りは(i)にある.その原因は条件P(e) = 3.0×104 PaにつられてPf = 3.0×104 Paとしたためであろう.ここで聞いているのは系の内部の圧力であり,系の外部の圧力は問題ではない.「準静的過程」あるいは「外部圧と内部圧が最終的に平衡になった」と思いこんではいけない.

断熱過程(iii)については範囲外であったが,何名かチャレンジしてくれた.PV = constとした誤りが目立った.

問3 解答を見ると苦心しながらもきちんと論述しているものが多い.日本語を論理的に書くのは難しいものである.これからも頑張ってほしい.

問4 「Internalとは系の内側である」という辞書的な解答が目立った.中身を論じてほしい.

今回の成績優秀者(全問正解)は下記の方々.付きの方は(iii)にチャレンジし,なおかつそれらも正解の方.

A8TB4036, 4044, 4070*, 4092, 4097*, 4115*, 4124

おめでとう.



10月22日 第4回目 続エントロピー  (配付資料レポート解答

アナウンス:レポートの提出締切時間は17時とさせていただきます.教務係の職員の方のご都合によります.

前回レポートの講評

問5 おおむね出来ている. lnをlog10としてしまうミスが未だ散見される.

問6 問5と同じ.エントロピーは状態量なので,最初と最後の温度,体積が与えられれば,どちらの変化を先に計算しようと,結果に変わりはない.なお,解答例に単純計算ミスがあった.お詫びして修正する.

問7 T1とT2の指定で,T1 < T2とした答えが目立った.減点の対象となる.長方形を描き1~4の数字を角に記しただけの解答も散見されたが,この種の問題は説明問題であり,解答として成立していない.自ら1~4に対応する状態,それらを結ぶ過程を説明しなければならない.

今回はそれでも全問正解が多く,特にリストしておくことはしない.この調子でがんばってほしい.



10月29日 第5回目 様々な系のエントロピー変化  (配付資料レポート解答

アナウンス:11月5日は休講.次回は11月12日となります.

講評

問8 おおむねできているが,1 molあたりとしているにもかかわらず物質量を表すnをつけている例が目立つ.

問9 (a)(b)はよくできているものの,(c)について納得できるような解が少ない.「考察せよ」という問題は苦手のようである.ファンデアワールスの補正項がそれぞれの関数にどのように寄与するか,考えればよい.

今回,自ら調べて良く解答していた方々は下記の通り.

A8TB4036, 4072, 4102, 4114, 4121, 4122, 4124

(何かをまる写ししたものは除外)



11月12日 第6回目 熱力学第二法則  (配付資料レポート解答

講評

多忙につき更新が遅れている.先に公表した問10の解答例の一部に誤りがあった.訂正する.今回は全問正解が多く,個々の番号を公表しない.

問10 

(1) 水の量が1 kgと指定されているにもかかわらず,1 molあたりの量で答えている例が目立つ.問題をよく読むように.

(2) 「ΔT = 0,故にΔS = 0」と即答している誤答が散見される.教科書のどこにもこのような記述はない.思いこみを排すべきである.なお,熱が奪われるのでΔS < 0となるべきである.

(3) 全体のエントロピー変化ΔSが負となることはない.lnの計算をしていないものもあった.関数電卓を購入すること(定期試験必携.これがないと試験の時に困る).

問11 部屋のエントロピー変化は負となるべきだが,正として答えている例が多い.ΔSに限らず,ΔXの符号は意味を持つ.必ず

ΔX = Xfinal − Xinitial

である.



11月19日 第7回目 自由エネルギー  (配付資料レポート解答

問14 昨年と同じく,Q = 188Rなどとした答えが散見される.Rに数値を代入し,最後まで計算すべきである.当然,減点の対象となる.

問15 (a)はギブズ自由エネルギーの定義に従い,ほぼ全てのレポートが正解を記していた.(b)ではなぜかΔAを計算し,自発変化でない,とした誤答が多い.一体どの様にΔAを計算しようというのか.典型的な例は次のようである.

 ΔAU - TΔSQ - PΔV - TΔS = - TΔS = 39 kJ/mol

ここにはΔQ = PΔVなるごまかしがある.(c)は

ΔeS = -ΔiS

とした誤りが数多い.結果全体のエントロピー変化ΔS = 0としている.外界の受け取る熱量からΔeSを計算すべきである.なおΔeSの符号を誤り,-403J/Kmolとしている誤りも目立った.符号には意味があることは前にも述べた.気をつけてほしい.



11月26日 第8回目 熱力学関数の相互関係  (配付資料レポート解答

問16 意外と出来ていない.多い誤答は熱力学第一法則から出発し,勝手に(∂S/∂V)U (= P/T)を求めている.内部エネルギーは一定である,などという条件はどこから来たのだろうか?式の上では正答であるαPTにたどりつくも,「αPTは一定なので,エントロピーも一定」と述べた者もいる.減点となる.なお以上は一般性のある解であって,今回は水銀と物質が特定されている.物性値を調べ,数値を計算させるのが出題者の意図である.

問17 ギブズ自由エネルギーの定義からG/T = H/T - Sと変形し,(1/T)の傾きはHである,とする解答が多い.これはHやSの温度依存性がなく,一定であるケースにしか成立しない.問にそのような前提はない.HやSは温度によって変化するものである.きちんと微分∂(G/T)/∂(1/T)の中身を考察すべき.

問18 解答には一言教科書を参考するよう指示している.ただ,Uについてのオイラーの式を導出し,UをGに変換するとややこしい.これはUの自然な変数として示量性のS, V, njが入り込むからである.先にGの形にしてから証明を始めると自然な変数はT, P, njであり,示量性の変数はnjだけであり,証明が楽になる.



12月3日 第9回目 化学ポテンシャルと相平衡  (配付資料レポート解答

アナウンス:本日配付の資料の一部を訂正します.問19 (a) 式(2)を式(1)に訂正

問19 (a)Sが完全微分であることを利用すればよい.多くの解答が正答を与えていたが,中にはギブズ−デュエム式から出発するなど,無理な証明が見られた.(b)ではCpdTの項を残している誤答が多い.このような出題の場合,特に断っていないが,温度変化がないことを前提としていると読み取るべきである.

(c)桁数を誤る誤答が多い.cm3とm3,kbarとPaの換算でミスしているようだ.

問20 ほとんどの解答が正答を与えている.気になったのは,ただ式を羅列しているものが散見されたことだ.どういう手続きで計算したか,その論旨が大事だ.数値があえばよい,というものではない.



12月10日 第10回目 純物質と溶液計の化学ポテンシャル  (配付資料レポート解答

問21 (1)全員正答.(2)Aについて「融点」という誤答が散見された.(3)ほとんど正答.(4)〜(6)単位,桁数,符号のミスが多い.前二者の原因については練習不足によるといえるだろう.単位換算,それに伴う桁数の調整に徹底してなれるべきである.



12月17日 第11回目 溶液の熱力学  (配付資料レポート解答

問22 ほとんどが正解.

問23 多くが正解を与えていたが,水のモル分率を計算するにあたり,単純にNaClの物質量を用いた誤答が散見された.Na+とCl-とが生成することに注意.



1月7日 第12回目 化学平衡の熱力学  (配付資料レポート解答



1月14日 第13回目 平衡電気化学  (配付資料レポート解答



1月21日 第14回目 レビュー(熱力学体系の把握)  (配付資料



1月28日 第15回目 テスト

アナウンス:関数電卓を持参すること.その他の持ち込みは認めない.