化学・バイオ系講義棟 2階 中講義室
リサイクルって難しい
化学工学コース環境化学プロセス分野 渡邉 賢
9月22日(火・祝)14:10-14:50
私たちは暮らしの中で必ず何かを捨てています。その一部でも、もう一度使えるものに生まれ変わっていれば良いですね。もう一度使うことを、私たちはリサイクルと呼んでいます。でも私たちが日頃使っているものの中で、リサイクルされているものはどれほどあるのでしょう?少なくとも、地球の生態系が行っているようなリサイクルは行われていないように思います。
ここで、生態系では、生産者、消費者、分解者からなる、限られた空間にある限られた資源を、長く使い続ける仕組みが整えられているように見えます。このような、炭素が生物の間を順繰りと回っているイメージが、リサイクルのイメージだと私は思います。それなのに、文明に支えられて生きている私たち現代人は、生態系に似た、人工的なリサイクルの仕組みを作ることができているでしょうか。
プラスチックは、とても便利で私たちの生活になくてはならないものになっています。しかし、最近では海洋を汚す厄介者としてニュースなどでも頻繁に取り上げられるようになっています。便利だけれど、リサイクルするための技術ができていないために、回収はするのだけれど、結果、燃やしたり、埋め立ててしまうことになってしまっています。さらに、プラスチックを処理するために必要なお金を払うことをためらったりすると、プラスチックはどこか適切じゃないところに行ってしまい、海を汚してしまうのだろうと思います。リチウムイオン電池も私たちの生活をどんどん便利にしてくれています。長く使えるものですが、それでも使えなくなる時がきます。捨てられたリチウムイオン電池はどうなってしまうのでしょう?
リサイクルはとっても大切ですが、とっても難しい。それを実現するための、化学工学を基礎とした研究内容を紹介しながら、何が問題なのか、考えてみたいと思います。
博士(工学) 渡邉 賢 MASARU WATANABE 環境保全センター 教授