バイオカーボンの革新的高付加価値利用法の開発

 近年、木材の価格下落による森林管理の衰退が問題になっています。そこで、木材の高付加価値化方法として、蓄電池としての利用を提案しています。「地域で使う蓄電池は、その地域で作る」というコンセプトの元で、太陽光発電などにより生成された電気をためるための、環境に優しい電池作りを考えています。

1.木材から作る,環境に優しい蓄電池

 リチウムイオン二次電池やキャパシタを始めとする蓄電デバイスの電極には、炭素材料が多く含まれています。ほとんどの炭素材料は、石油原料をベースに作られ ていますが、近年これらを身近なバイオマス資源から作る動きが出てきています。渡邉研究室では、環境に優しいプロセスを用いてバイオマス原料から、電極用炭素材料を創成することを目指します。

2.水熱条件におけるバイオマス原料を用いたカーボン材料の作成

 カーボン材料は木炭等のエネルギー材料を初めとして航空機材や半導体,電池の負極材等,化学技術の発展と共に幅広い分野で利用されています.化学工業において一番なじみ深い炭素材料として活性炭があり,炭素化した木質材料を多孔質化することで吸着材や触媒としての利用が着目されています.

 最近では活性炭にスルホ化を施すことによって,硫酸などの均一触媒と比較して安価で分離が容易であり,危険性を伴わない固体酸触媒としての活性炭が着目されています.水熱条件下におけるバイオマス原料の炭化では不活性ガス雰囲気下の炭化と比較して含酸素基を多く残存させたまま炭化が可能であり,スルホ基の導入量が増加するため,より高効率な反応となることが期待されています.当研究室では水熱条件下におけるバイオマス原料の炭化によって固体酸触媒を作製し,環境低負荷,高効率なプロセスの構築を目指しています!