メタンのその場熱供給型改質による合成ガス製造

天然ガスからの合成ガス製造
 天然ガスの主成分であるCH4から合成ガス(CO+H2)を得る反応は、非常に大きな吸熱反応であり、多くの熱供給を必要とする。そのため、反応器の加熱に大きなエネルギーが必要なことや、反応器自体の経時劣化が問題となっている。本研究は、反応ガスにO2を加えて触媒上でCH4の燃焼反応を進行させ、それによって得られる熱をその場で改質反応に利用(direct heat supply)することによる高い熱効率を目的としている。

 
 これまで本研究ではPtおよびNi触媒を用いて、上記の反応を行ってきた。
Ni触媒では、酸化されたNi2+の領域ではCH4の接触燃焼のみが起こり、温度が高くなる。また、燃焼で熱が発生する領域と改質で熱が吸収される領域が分かれるので、その場熱供給がくずれる。一方、Ptは常に還元状態にあり、燃焼領域と改質領域が同じ場所で起こっているため、高効率でその場熱供給が行われ、触媒温度がほぼ均一にできることを見出してきた。

 
 このようにPtは高い性能を持っているが、高価である。これに対し、Niは酸化されることをクリアできれば、価格も安く、非常に良い触媒であるといえる。そこで現在、Ptの高性能とNiの低価格を両立した複合触媒の開発に取り組んでいる。

 
 さらに、実用化を踏まえて粒子状触媒を調製し、サーモグラフィーを用いてその場熱供給効果の検討触媒の最適化触媒設計についても研究を行っている。