平成15年度石油学会論文賞

冨重圭一・宮澤朋久・Mohammad Asadullah・伊藤伸一・国森公夫
「ロジウム/セリア/シリカ系触媒を用いたセルロースの接触ガス化:
コークの燃焼およびタールの改質」

 最近、バイオマスのガス化による発電や高品位輸送用燃料への転換が非常に注目されている。 ガス化効率を上げるためにはガス化温度は低いほうが望ましいが、バイオマスのガス化はタールトラブルを避けるために一般に非常に高温(800〜1100℃)で行われる。 これまでに、タールトラブルを解決してガス化温度を下げるために、タール改質活性をもった種々の触媒が開発されてきたが、 それらの多くはコーキングやシンタリングによって劣化することが大きな問題であった。これに対して、著者らは高いタール改質反応活性と コークの燃焼反応活性を併せ持ったRh/CeO2/SiO2系触媒を開発し、その有効性について流動層反応器を用いて550℃ という低温でセルロースをガス化することにより明らかにした。触媒の耐久性や実際のバイオマスのガス化への適用の可能性は課題として残るが、 本論文は従来とは異なる新しい触媒を開発し、バイオマスの接触ガス化に新しい指針を与えたものと評価できる。以上の点から、本論文は 本会表彰規定第6条に該当するものと認められる。    
Petrotech, 27, 4, 2004 より抜粋