日経産業新聞に記事が掲載されました。

グリセリン由来の繊維原料 収率11ポイント高まる触媒


  東北大学の冨重圭一教授らはグリセリンから化学繊維原料を作り出す新しい触媒を開発した。収率は38%と従来より10ポイント以上高い。植物油からバイオディーゼル燃料を製造する過程で出る廃液中のグリセリンを再利用する手段として期待できるという。
 開発した触媒は、二酸化ケイ素に直径2ナノ(ナノは10憶分の1)メートルのイリジウムの微粒子を付けた。イリジウムの表面はレニウムの酸化物が部分的に覆っている。グリセリンの水溶液に触媒を入れ、セ氏120度で80気圧の水素と反応させたところ、ポリエステル繊維の原料となるプロパンジオールが得られた。
 収率は38%と従来手法よりも11ポイント高い。触媒は3回再利用しても性能の低下はなかったという。ポリエステル繊維は通常、石油から作るが、「バイオディーゼル燃料の製造過程で出るグリセリンから生産できる可能性が出てきた」(冨重教授)とみている。
 化成品、燃料、化学の各社や、商社などと協力したい考えだ。今回は試薬で反応を確かめたが、不純物が含まれた実際の廃液でも性能を確かめる。イリジウムはレアメタル(希少金属)のため、他の金属で代用できるか検討し、コスト低減に取り組む。成果は触媒の国際学術誌に掲載された。新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)の支援を受けた。

日経産業新聞 2010年6月11日 掲載

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