燃料電池の話 改定第2版
〜燃料電池自動車の時代が到来〜 化学工業日報社
P109〜P110抜粋


(8)筑波大学

   国森公夫教授,冨重圭一講師らは,バイオマスのガス化による水素製造の研究を行い,バイオマスを高性能触媒を用いて従来より圧倒的に低温でガス化し,水素が超高効率で生成できることを明らかにした.
   次に,天然ガスの改質反応による合成ガス製造(水素と二酸化炭素)として天然ガスの主成分であるメタンと水蒸気や炭酸ガスを反応させることにより合成ガスを製造する触媒の開発を行っている.天然ガス改質による合成ガス改質は非常に大きな吸熱反応であるため,改質材とともに酸素をいれ,反応器内で燃焼反応を進行させ,熱供給をする直接熱供給型改質に関する触媒の可能性を見出している.
   さらに,メタノールの水蒸気改質に関する検討も行い,比較的温和な条件で水素を製造する触媒を開発している.
   水素は,改質反応を用いて製造されるが,この場合,副生成物として一酸化炭素が生成してくる.このままでは固体高分子型燃料電池を用いる場合は一酸化炭素により電極触媒の活性が大きく低下することが知られている.そのため,燃料ガス中に少量の空気を導入することによって,選択的・優先的に一酸化炭素を二酸化炭素へと酸化する触媒に関する研究を行っている.


   導入するガスはCH4,CO2,O2でArバランスしてある.まず触媒入り口でメタンの接触燃焼が起きる.ここで得られるH2O,CO2,熱を利用して合成ガスを製造する.
    触  媒  燃  焼 : CH4+2O2 ⇒ CO2 + 2H2O    僣=-880 kJ/mol
    水 蒸 気 改 質: CH4+H2O ⇒ CO + 3H2       僣=+206 kJ/mol
    炭酸ガス改質 : CH4+CO2 ⇒ 2CO + 2H2     僣=+247 kJ/mol