新学術領域研究 新光合成 膜輸送・電気生理学的解析担当センター

膜輸送体の機能解析

 

○微生物膜を対象にしたイオンチャネル測定装置(パッチクランプ法)

パッチクランプ法は生体膜に発現するイオン輸送体分子のイオン輸送活性を記録する電気生理学的測定方法の一つである。一般的なパッチクランプ測定では、ピペット口径よりも大きい十µm程度以上の動物細胞や植物細胞、またはそれらのオルガネラに発現するイオン輸送体の電気生理学的性質が調べられてきたが、細胞サイズの小さい微生物細胞を用いたパッチクランプ測定は困難であった。微生物細胞のイオン輸送体の活性測定を目的に矢部らによって大腸菌や出芽酵母をパッチクランプ測定が可能な大きさ(10 – 20 µm)に巨大化させてイオン輸送体活性の測定を行うSpheroplast Incubation (SI) methodが確立された。本手法を用いて大腸菌のFATPaseおよび呼吸鎖、出芽酵母VATPaseの機能解析が報告された。さらに、酵母液胞膜局在性陽イオンチャネルTRPY1, trpy1欠損株を発現株として植物液胞膜局在性K+チャネル、ヒトリソソーム膜局在性陽イオンチャネルTPC2の機能解析が行われた。

 

 

○アフリカツメガエル卵母細胞系を用いたイオンチャネル・トランスポーター測定装置(電極二本刺し膜電位固定法)

アフリカツメガエル卵母細胞は人工合成したcRNAを細胞内に注入することで任意のタンパク質を発現させることができる。このため、生体膜に発現するイオン輸送体タンパク質の輸送特性解析のみならず、その活性化に必要な因子や活性化メカニズムをも解明することが可能である。イオン輸送体タンパク質の解析は、目的の輸送体を発現させた卵母細胞に膜電位固定電極と膜電流測定電極の二種類を刺入し、輸送体を介して細胞膜を透過するイオンを電流として検出することで行う。当研究室ではこれまで、植物の気孔開口を担うK+チャネルKAT1の活性制御部位や、陰イオンチャネルSLAC1の活性化メカニズムを解明してきた。また、K+チャネルの阻害化合物や、陰イオンチャネルの新規活性化因子の探索にも着手している。

 

 

○大腸菌反転膜によるプロトン対抗輸送体の測定

アクリジンオレンジ(pH 指示薬)は、pH が高いと緑色の蛍光を持つが、プロトン高濃度存在下では緑色の蛍光は消光する。この特性により、大腸菌に発現させた膜タンパク質のプロトン対抗輸送能を分光蛍光光度計で測定できる。輸送活性の測定は、まず、フレンチプレスを用いて大腸菌の反転膜を調製した後に、アクリジンオレンジを添加する。その後、乳酸を添加することで呼吸鎖を動かし、H+ を反転膜内に蓄積させるとアクリジンオレンジ消光が観察できる。H+ と対抗輸送されるイオンを添加すると、目的の輸送体を介してプロトンの排出が起これば再びアクリジンオレンジが蛍光を持つことになる。

 

 

 

▲ ページトップへ ▲