東北大学 東北大学 大学院工学研究科・工学部 化学・バイオ系

九葉会 九葉会 KUYOKAI

会長挨拶

平成26年
今野幹男(昭和49年卒、斎藤研)

九葉会会員の皆様には、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。この度、九葉会の会長に就任いたしました今野でございます。大学院化学工学専攻の材料プロセス工学分野の教授を担当しており、微粒子の合成法の開発ならびに微粒子を利用した機能性材料の開発を行っております。伝統ある学科の同窓会会長に就任して、身の引き締まる思いです。

今日、工学における対象分野も随分変化してきております。ただ化学の分野についてみると、工学部の他の学科に比べて基本的な変化は緩やかです。それでも本学科は、いわゆる応用化学系の体制からはじまり、それに化学工学が加わり、現在はバイオと環境関連の分野を加えた4分野構成となっています。学科は古くから、基礎研究を実用化に結びつけるプロセス開発の果実を世の中に送り出し、産学連携の成果を挙げてきております。将に大学の大きな理念である実学主義を備えた学科ということができます。このような学科に身を置くことができたことは、私にとって大きな幸せです。

本来、大学は真理探求の場として、普遍的価値を有する知識や基本現象を解明する場として、社会とはある程度距離を持った独立した存在であるべきという捉え方が強かった面があります。しかし、近年は社会とのあり方についての大学の位置も変化しています。大きな要因は経済状況の変化にあり、大学に対して社会発展に強く寄与することが求められ、特に経済面での寄与がわかり易い指標として評価する動きが強くなっています。これは、ある意味では大学に対する叱咤であり、裏を返せば、大学に対する期待ということもできます。具体的に求められるのは、専門性を生かした成果であり、大学の組織改革が行われ、この方向での研究支援制度の改革、技術移転機構の設置など、新たな要素が加わっています。現在、学科は、大学院重点化により、教員所属を大学院によって表すことになっており、大学院は上に述べた4分野構成で、学部の方は化学・バイオ工学科の一学科体制となっています。

このようなわけで、今後の学科にとって、これまで以上に社会との積極的な関わりが求められることになります。そのためにも同窓会との交流の窓口を広げることが益々重要です。これまでは、各方面で活躍されている卒業生の方に学科の集中講義に来て頂いて、企業での取り組みや今後の動向などについてお話頂いております。また、折に触れて、「先輩が後輩にかたる特別講演会」を開催しております。社会で活躍しておられる諸先輩から、大学にいる我々では話せないことをお話し頂き、学生に刺激を与えています。さらには、研究室配属前の学生を対象とした工場見学では、毎年多くの学生が参加し、卒業生の皆様に大変お世話になっております。ここにも九葉会ネットワークが最大限活用され、参加学生が先輩との交流・雑談に大いに刺激を受けているのを、訪問の度に感じております。現在、九葉会の会員数は約7千名に上り、それだけに管理面から運営の面まで、難しいところもありますが、できるだけ会員との意思疎通も図り、活性化に繋げたいと考えております。そのため、ホームページ、名簿、会報の充実を図るとともに、リクルートや総会など卒業生や各支部の役員の方の協力もお願い申し上げる次第です。聞くところによれば、我が国の化学産業の付加価値額は、国内製造業の約2割、16兆円を創出して、製造業最大となっているそうです。これは、化学が多様化する科学技術に対して対応できる多面性を持っている証拠でもあります。社会で活躍できる卒業生を世に送り出すことができれば、大きな貢献が期待できると考えています。会員の皆様のご指導、ご鞭撻をお願い致します。

末筆ながら、九葉会会員の皆様の益々の御健勝と御活躍をお祈り致します。